逆流性食道炎改善に
食事とともに見直したい生活習慣
私たちの体は、筋肉によって動かされています。これは内臓も一緒で、体の筋力が低下してしまうと、内臓の動きも弱めてしまうのです。胃や食道のぜん動運動も、もちろん筋肉によって動いていますので、筋力が低下すると運動が弱まり、胃の内容物を腸の方へ送る力が低下します。また、胃から食道への逆流を防ぐフタの役割も、下部食道括約筋や横隔膜といった筋肉で行っているため、送られずに胃に溜った胃液などが溢れるのを堰き止めず、食道の方向へ逆流を起こしやすくなってしまいます。
下部食道括約筋は、食道と胃の境目にある筋肉で、胃から食道へ胃液(胃酸)や胃の内容物が逆流するのを防ぐ、フタの役割を果たしています。ところが、筋力の低下や腹圧が高くなって圧迫されることによって筋肉が緩んでしまうと、フタとしての機能が低下し逆流を起こしやすくなってしまいます。このように逆流防止に重要な下部食道括約筋ですが、腹筋や腕・脚の筋肉とは異なり、自分の意思でコントロールすることができない筋肉で、そのため鍛えることもできません。
横隔膜は肺の下にある筋肉で、主に肺を膨らませたり縮めたりして、呼吸を助ける役割を果たしています。食道は、この胸の下にある横隔膜を貫通する形で胃に繋がっています。この貫通している穴を食道裂孔といい、やはり胃からの逆流を防ぐ役割をしています。ところが、筋力が低下するとこの裂孔も広がり、胃が上部にはみ出す「食道裂孔ヘルニア」を引き起こすリスクが高まります。しかし、下部食道括約筋と異なり、横隔膜は鍛えることが可能な筋肉なのです。
横隔膜は肺を動かすのをサポートする筋肉ですので、筋力を鍛えるトレーニングには腹式呼吸などの呼吸法が有効となります。特におススメなのが、腹式呼吸をしながらウォーキングをおこなう方法です。
腹式呼吸で横隔膜をトレーニングし、筋力をアップさせることで、逆流が抑制できることはお分かりいただけたかと思います。逆流を防ぐ筋肉を鍛えるとともに、胃酸過多になりやすい食事の改善をおこなっていくことで、より効果的に逆流性食道炎の改善がおこなえます。