逆流性食道炎改善に
食事とともに見直したい生活習慣
仕事や家事、人間関係など、私たちの身の回りにはストレスとなる要因が溢れています。そのため過度なストレスがかかりやすく、それが原因で様々な体の不調が現れることも、決して少なくはありません。逆流性食道炎も、大きな要因のひとつにストレスが挙げられているほどです。しかしなぜ、過度なストレスがかかると逆流性食道炎を発症するリスクが高まるのでしょうか?そこで、ストレスと逆流性食道炎にはどんな関係性があるのか、詳しくみていきましょう。
私たちの体の機能は、自律神経によって調整され、正常な働きをしています。自律神経には、活動を促す「交感神経」と休息を促す「副交感神経」があり、これが交互にバランス良く働くことで、体を健康な状態に保っています。ところが、過度なストレスが加わるとこのバランスが崩れ、交感神経が優位に立ち続け、副交感神経が機能しなくなってしまうのです。この副交感神経を主体に構成されている神経に、迷走神経というものがあります。迷走神経は、生命維持に大変重要な役割を果たしており、胃酸の分泌を促す働きも持っています。普段は、食事をしない限り胃酸は分泌されませんが、この迷走神経が過度なストレスにさらされ刺激されると誤作動を起こし、空腹時でも胃酸が分泌されてしまうのです。すると胃酸過多になり、逆流を起こしやすくなってしまうのです。
私たちの体は、食事をすると口から食べたものを飲み込み、体の中へと摂り込みます。飲み込まれた食べ物は食道を通り胃へと送られ、そこで胃液によって分解されていきます。この時胃に収まった食べ物や胃液を、胃から逆流させないように、フタの役割をしているのが「下部食道括約筋」という筋肉です。下部食道括約筋は、胃と食道の境目にあって、逆流を防ぐ大事な機能を担っているのですが、ストレスはこの下部食道括約筋にも影響を及ぼしてしまうのです。体が過度なストレスにさらされると、下部食道括約筋が緩んで機能低下を起こすことが認められています。ストレスはさらに胃酸の分泌も高めます。異常に分泌され増えた胃液は、ストレスで機能低下した下部食小津括約筋にさらにダメージを与え、食道への逆流をより起こしやすい状態にしてしまうのです。
ストレスが溜ってくると、なんとかして軽減しようと無意識に防御本能が働きます。そんな無意識の発散方法で一番に挙げられるのが、食べてストレスを発散する方法です。確かに、美味しいものを食べてお腹を満たすことは、気分を落ち着け楽しい気持ちにもさせてくれます。しかし、そうしてストレスを解消しようと暴飲暴食に走ることは、逆に症状の悪化を招きかねません。胃酸の分泌を高めますし、胃腸への負担は体のストレスになりますので、逆効果と言えるのです。
ストレスの発散方法としてお酒を飲む、という選択をする人もいるかもしれません。確かに、お酒を飲むと気分が良くなり、楽しい気持ちになれるかもしれません。しかし、逆流性食道炎を患っている場合は、飲酒でのストレス解消は絶対に避けてください。アルコールは体に入ると、胃酸の分泌を促し胃酸過多を招きます。つまりお酒を飲むことは、逆流性食道炎の症状を悪化させてしまうことに直結してしまうのです。病気の改善という意味では、全くの逆効果と言えます。
逆流性食道炎の改善のために、ストレスの解消が勧められていますが、間違った方法では逆に症状を悪化させかねません。そこで、改善に適しているとされる、いくつかのストレス対処法をご紹介します。
以上のように、日常生活で受けたストレスを自分に合った方法で、上手に解消していくことも、症状を緩和させるために重要なポイントとなります。ストレスを緩和し、食事の改善で胃腸への負担を和らげることで、効果はさらに高まるとされています。