逆流性食道炎のその他の改善方法
最近ダイエット法として話題になっている「糖質制限」ですが、逆流性食道炎の治療のための食事改善にも有効なのでしょうか?実は現在の所、糖質制限と逆流性食道炎の関連性について、日本消化器病学会のガイドラインには一切出てきてはいません。しかし実際には、「糖質制限をしたら、不快な胸やけ症状が治まった。」といった事例が複数報告されていますし、糖質制限が逆流性食道炎の改善に有効であると推奨されている医師の方もいらっしゃいます。
逆流性食道炎の原因が肥満にある場合、糖質制限でダイエットをおこなうことで、症状を軽減できる可能性があります。肥満体型の人は内臓脂肪により腹圧が高く、胃を圧迫して逆流を起こしやすくなります。つまり、内臓脂肪を減らすことで胃への圧迫を軽減すれば、逆流も起こりにくくなるというわけです。また、糖質を多く含む炭水化物やスイーツ、根菜類などの食べ過ぎも、胸やけを起こしやすくするとされています。肥満体型の人は、この2つを起こしているため、逆流性食道炎を発症している可能性が非常に高いのです。糖質制限は、糖質の摂取を制限することで肥満を改善していく方法です。ですので、糖質の過剰摂取やそれに伴う肥満が、逆流性食道炎の原因であることが明らかな場合、糖質制限は非常に有効な手段であると言えます。
味付けが濃い料理や、ケーキやあんこなど糖質をたくさん含む食べ物は、「高浸透圧食品」と呼ばれることがあります。「高浸透圧食品」とは、摂取した後に胃で溶けるときに、それが高浸透圧の液体となる食品のことです。この高浸透圧の液体が食道に逆流した場合、胸やけ症状が起こりやすくなるとされているのです。その点からも、辛い胸やけ症状を改善するためには、味付けが濃い料理やケーキ・あんこなどの甘いものは、摂取を控えることが望ましいとされています。そのために、糖質制限は有効な方法であると言えるのです。糖質制限をおこなうことで、甘いものの過剰摂取が抑えられることになりますから、高浸透圧食品の過剰摂取を減らすことに繋がり、ひいては食道への逆流を予防して、逆流性食道炎による辛い胸やけ症状を改善するのに役立ちます。
糖反射とは、東京大学の実験で実証された、砂糖の過剰摂取で胃腸の動きが変化する現象のことです。人間の胃は、健常な状態では1分間におよそ3回ほどのペースでぜん動運動をおこなっています。実験では、被験者に砂糖水を飲んでもらい胃の状態を調べたところ、数十秒間にわたって胃腸の動きがほぼなくなった、という結果が得られたそうです。胃はぜん動運動をすることで、食べ物を腸の方向へ送り出しています。そのため、動きが鈍れば下へと押し出すことが出来なくなり、胃液などが上の食道へと逆流を起こしやすくなるのです。現段階では糖反射に関するメカニズムは、明確に解明されていないのですが、糖の過剰摂取と胃の動きには密接な関係があることは確かなようです。その点からも、糖質制限は逆流性食道炎の症状改善に有効と考えられます。
上記でご紹介したとおり、糖質制限は逆流性食道炎の症状改善に、効果的な方法の1つであると言えます。しかし、胸やけ症状が起こる原因は、1つではありません。人によって原因が異なっていますので、全ての人に糖質制限が有効であるかというと、必ずしもそうとは言い切れないのです。そのため、食事の改善をおこなう場合は、自分に合った食品を見つけていくことが必要です。また、飲み物で改善する方法もありますので、楽しみながら探っていくと良いでしょう。