逆流性食道炎の改善法 手術

逆流性食道炎を食事で改善胸やけ・呑酸を放置しない!35歳からの食生活改善法

逆流性食道炎のその他の改善方法

逆流性食道炎で手術をする場合とは?

逆流性食道炎の改善方法には、外科手術によって治療を行う方法もあります。しかし、逆流性食道炎の患者さんが全て手術を勧められるわけではなく、いきなり手術をするということもありません。逆流性食道炎の重症例の多い欧米では、以下のようなケースを手術の適応基準としています。[注1]

  • 薬で改善しなかった場合
    薬物療法に生活習慣の改善もおこなっているにもかかわらず、症状の改善がほぼみられない場合は、手術を勧められることがあります。
  • 治療期間が長期化して再発を繰り返している場合
    治療期間が長期化していて、逆流性食道炎による炎症が幾度も繰り返されているような場合は、患部が食道ガンへ移行する怖れがあるため、手術での治療の適応となります。
  • バレット食道を合併している場合
    逆流性食道炎の合併症の1つである「バレット食道」を発症している場合、前癌状態と考えられることから、手術での治療の適応となります。
  • 狭窄、出血など、食道炎の病気の程度が重症の場合
    狭窄や出血などを伴うような、逆流性食道炎の症状が重度の場合、手術での治療の適応となります。重症度が増し、短食道や食道狭窄といった合併症は併発してしまうと、手術の難しさが増してしまうので、早期の手術が勧められています。
  • 薬の飲み忘れなどの理由で薬を継続して飲むことができない場合
    薬物療法を薬の飲み忘れなどで継続することが難しい方の場合、手術での治療をすすめられる場合があります。

治療の流れ

生活習慣の改善と薬物療法で治療を行ったにもかかわらず、症状に改善がみられない場合、手術による治療の適応となります。このような症状の患者さんの場合、多くは食道裂孔ヘルニアを併発しています。食道裂孔ヘルニアとは、食道と胃のつなぎ目にあって胃液(胃酸)や胃の内容物が食道へ逆流しないように、フタの役割をしている筋肉「食道裂孔」が緩んでその役割を果たせず、胃が食道側へはみ出した状態をいいます。このような状態になると、逆流を防ぐ機能が果たせないわけですから、もちろん胃液(胃酸)の逆流も起こりやすくなってしまいます。逆流性食道炎の手術では、逆流の原因となっている食道裂孔ヘルニアになっている食道裂孔を、外科的手法「噴門形成術」によって修復をすることで、逆流を防止する機能を取り戻していきます。

手術法

逆流性食道炎の手術は、一般的に腹腔鏡でおこなわれます。※腹腔鏡手術は、腹部に数カ所の小さな穴を開け、そこから内視鏡カメラと複数の医療機器をそれぞれの穴から体内に挿入し、カメラで内臓の状態を目視しながら医療機器を使ってお腹の中で手術をおこないます。腹部を大きく切開する手術ではないので、体にかかる負担が少なく、入院期間も短く済むのが特徴です。また、逆流性食道炎・食道裂孔ヘルニアの腹腔鏡手術における死亡例はなく、安全性の高い手術法とされています。

手術費用

逆流性食道炎の手術は、保険適用の治療法です。手術にかかる費用は、病院や入院期間、処置、病室などによって変わりますが、3割負担で10万円~27万円程度[注2]というのが1つの目安となっています。また、高額療養費制度の適用にもなっているため、申請すれば手術をするためにかかった医療費のうち、自己負担限度額を超えた金額が払い戻されます。

手術後の社会復帰や再発、注意点など

逆流性食道炎の手術後の仕事復帰は、退院後1週間程度で可能とされています。手術での逆流性食道炎の完治率は約9割とされていて、残り1割に再発が認められています。その場合は速やかに薬物療法などで対処していく必要があるため、退院後は経過観察のため定期的な通院が必須となっています。また、副作用として飲み込みづらいという嚥下困難が現れる場合がありますが、これはほとんどの場合1~3ヶ月程度で自然に消失していきます。[注3]

手術は最終手段

手術は逆流性食道炎の根本治療に分類される改善法ですが、この方法は症状が重症化していて、手術以外で改善の効果がないと判断された時におこなう、いわば最終手段です。体に負担が少ないとはいえ、体に傷を付ける治療ですので、安易に手術で治そうとするのは望ましいことではありません。この最終手段をおこなわざる得ないような状態になる前に、薬物療法を含めて食事や生活習慣の改善など、やるべきことをしっかりとやることが大事になってきます。

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