逆流性食道炎のその他の改善方法
胃液(胃酸)や胃の内容物が胃から食道へと逆流を起こすことで、胸やけなど様々な不快な症状が現れる逆流性食道炎。その治療法としてまず挙げられるのが、薬物治療です。薬物治療とは、薬を服用することで胃酸の分泌を減らしたり、胃酸の酸性度を減らすことで、逆流によって起こる症状を緩和していく対処療法です。薬物治療のメリットは、服用することに夜症状の緩和効果に即効性があるという点です。逆にデメリットとしては、対処朗報であるため薬の服用を止めてしまうと、症状が再発しやすいという点です。そのため、逆流性食道炎を根本的に治していくには、薬で不快な症状を一時的に抑えながら、食事の改善や生活習慣の見直しをおこなっていくことが必須なのです。
逆流性食道炎の治療薬として良く処方されるのは、「胃酸の分泌を抑える薬」です。逆流の主な原因が胃酸過多にあるため、この薬が症状の緩和に最も効果的とされているからです。胃酸の分泌を抑える薬の他にも、「食道の粘膜を保護する薬」「胃酸の酸度を中和する薬」「食道や胃のぜん動運動を活発にする薬」などが、患者さんの症状に合わせて処方されることがあります。[注1]
逆流性食道炎と診断されると、最も症状の改善に適しているとされるプロトンポンプ阻害薬(PPI)が、初期治療として約8週間分処方されます。この8週間内で、症状はほとんど改善しますが、そこで服用を中断してしまうと、中断後6ヶ月で89.4%と非常に確率で再発してしまいます。これを繰り返してしまうと、厄介な合併症を引き起こす可能性が高くなります。ですので、症状が治まっていても続けて服用する「維持療法」が、病院では勧められています。逆流性食道炎が軽症である場合も、薬を中断後に不快な症状が再発した場合には、維持療法への移行が望まれます。このように薬物療法では継続した服用が望まれますが、最近ではもう一つの薬の飲み方として、患者自身の判断で症状が出そうな時に服用し、よくなったと思ったら中止する、という「オンデマンド療法」というものも考えられてきています。[注2]
逆流性食道炎の治療薬としてよく処方されるPPIの場合、効果の高い分長期間服用することに対する安全性が疑問視されることもありました。そのため、PPIが臨床で使用されてから20年以上、世界各国で注意深く観察がおこなわれた結果、現段階において長期間の服用による問題(副作用など)はほぼ確認されず、維持療法においても安全性が高いことが認められました。ですので、自分に合った飲み方を医師とよく相談して維持療法をおこなえば、安全性に関する心配はないと言えます。
薬物療法は、症状を緩和させるためには即効性も期待できとても良い改善法ですが、あくまでも対処療法であり根本治療ではありません。ですので、本当の意味で逆流性食道炎を改善するためには、薬の効果にだけ頼るのはお勧めできません。症状が軽い場合でも想い場合でも、薬の服用とともに根本治療でもある日常生活の注意と改善を心がけることが、とても大切になってきます。