【特集】ピロリ菌除菌すると逆流性食道炎は悪化する?

逆流性食道炎を食事で改善胸やけ・呑酸を放置しない!35歳からの食生活改善法

逆流性食道炎とは?

ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎になりやすい

ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎になりやすいとされる理由は、ピロリ菌が胃炎を引き起こす細菌であることが関係しています。ピロリ菌により慢性的な胃炎を引き起こしている場合、胃酸の分泌は低下している状態ですので、逆流を引き起こす可能性はほぼありません。しかし胃炎の治療のためにピロリ菌を除菌すると、低下した胃酸の分泌が改善し、ピロリ菌によって中和された胃酸の酸度も高まるため、逆流が起こりやすくなり、逆流性食道炎を発症しやすくなるのです。[注1]

除菌するべきか?

ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎になりやすいといわれていますが、実際に除菌後に逆流性食道炎を発症する人は、全体の約5~10%程度とされ、そのほとんどが軽症です。そのため、除菌後に食道ガンのような重篤な合併症を引き起こすといった、科学的根拠もありません。それよりも、ピロリ菌による胃ガン発症のリスクの方が高いため、除菌を優先させてください。また、2013年2月よりピロリ菌の除菌治療は保険適用となりましたので、病院でより受けやすくなっています。[注2]

ピロリ菌とは?

ピロリ菌は、正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ菌」といい、胃の粘膜に棲みつくらせん系をした細菌です。感染時期は幼児期(5歳くらいまで)で、口から感染します。胃には強い酸である胃酸があるのですが、ピロリ菌には酸を中和する作用があり、生息を可能としています。ピロリ菌に感染すると慢性胃炎を引き起こし、そこから胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃ガンなどを発症させるリスクが指摘されていますが、一度感染するとほとんどの場合、除菌しない限りいなくなることはありません。

ピロリ菌の感染者は減少している

引用元:ヘリコバクター・ピロリ除菌の保険適用による胃がん減少効果の検証について (http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000167150.pdf)

日本人のピロリ菌感染者は、約3,500万人と言われていて、50歳以上の約70%の人が感染しているとされています。ピロリ菌は経口感染で、幼児期に井戸水などを飲用する、もしくは保菌者であるお母さんから口移しで食べ物を食べるなどすることで、感染することが多いそうです。感染者の多くは高齢者で、これは上下水道が整備されていない時代に、幼児期を過ごしていることが理由となっています。そのため現在10代や20代の感染者は10%未満と少なく、感染が減っていることがわかっています。

ピロリ菌が引き起こす病気

ピロリ菌に感染することで、引き起こされる病気には下記のようなものが挙げられています。

  • 慢性胃炎
    ピロリ菌が胃の粘膜に棲みつくと、その部分で炎症が起こることがわかっています。それが長期間続くと、炎症を起こしている胃粘膜の部位が拡大していき、最終的には全体に炎症が広がって慢性胃炎となります。
  • 胃・十二指腸潰瘍
    ピロリ菌に感染した胃や腸の粘膜は、胃酸の影響を受けて弱まります。そうして粘膜が傷つき深くえぐられた状態が、胃・十二指腸潰瘍です。
  • 胃がん
    胃ガンは、胃粘膜なくの細胞がガン化することで起こる病気です。ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜が萎縮していくので、胃ガンを引き起こしやすい状態を作り出すとされています。
  • その他の病気
    「胃MALTリンパ腫」「特発性血小板減少性紫斑病」なども、ピロリ菌を除菌することでの改善が見込める病気とされています。

ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌の検査方法は、内視鏡を使う方法と使わない方法の2つに分けることができます。

  • 内視鏡(胃カメラ)検査
    内視鏡(胃カメラ)検査は、医師が直接胃の内部を目視で診断できる方法です。検査法には「迅速ウレアーゼ試験」「鏡検法」「培養法」がありますが、胃炎の程度やガンの有無を調べることができる「迅速ウレアーゼ試験」が有効です。
  • 内視鏡(胃カメラ)を使わない検査
    内視鏡(胃カメラ)を使わない検査法としては、「血液や尿による抗体測定」「尿素呼気試験」「便中抗原測定」があります。これらは感染を調べるというよりも、ピロリ菌の除菌が成功したかを調べるのに適した検査法とされています。

ピロリ菌の除菌方法

ピロリ菌の除菌は薬を服用することでおこないます。まず一次除菌として、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質を朝夕2回、7日間服用していき、その後除菌されたの検査をおこないます。検査の結果まだ除菌しきれていなかった場合、二次除菌として一次と同じ薬(抗生物質だけ1種類別のものを使用)を3錠、同様に7日間服用した後、検査をおこない除菌の有無を確認します。
除菌の副作用としては、下痢や軟便、味覚障害、アレルギー反応、AST(GOT)、ALT(GPT)の変動などが挙げられています。

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