逆流性食道炎とは?
ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎になりやすいとされる理由は、ピロリ菌が胃炎を引き起こす細菌であることが関係しています。ピロリ菌により慢性的な胃炎を引き起こしている場合、胃酸の分泌は低下している状態ですので、逆流を引き起こす可能性はほぼありません。しかし胃炎の治療のためにピロリ菌を除菌すると、低下した胃酸の分泌が改善し、ピロリ菌によって中和された胃酸の酸度も高まるため、逆流が起こりやすくなり、逆流性食道炎を発症しやすくなるのです。[注1]
ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎になりやすいといわれていますが、実際に除菌後に逆流性食道炎を発症する人は、全体の約5~10%程度とされ、そのほとんどが軽症です。そのため、除菌後に食道ガンのような重篤な合併症を引き起こすといった、科学的根拠もありません。それよりも、ピロリ菌による胃ガン発症のリスクの方が高いため、除菌を優先させてください。また、2013年2月よりピロリ菌の除菌治療は保険適用となりましたので、病院でより受けやすくなっています。[注2]
ピロリ菌は、正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ菌」といい、胃の粘膜に棲みつくらせん系をした細菌です。感染時期は幼児期(5歳くらいまで)で、口から感染します。胃には強い酸である胃酸があるのですが、ピロリ菌には酸を中和する作用があり、生息を可能としています。ピロリ菌に感染すると慢性胃炎を引き起こし、そこから胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃ガンなどを発症させるリスクが指摘されていますが、一度感染するとほとんどの場合、除菌しない限りいなくなることはありません。
引用元:ヘリコバクター・ピロリ除菌の保険適用による胃がん減少効果の検証について (http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000167150.pdf)
日本人のピロリ菌感染者は、約3,500万人と言われていて、50歳以上の約70%の人が感染しているとされています。ピロリ菌は経口感染で、幼児期に井戸水などを飲用する、もしくは保菌者であるお母さんから口移しで食べ物を食べるなどすることで、感染することが多いそうです。感染者の多くは高齢者で、これは上下水道が整備されていない時代に、幼児期を過ごしていることが理由となっています。そのため現在10代や20代の感染者は10%未満と少なく、感染が減っていることがわかっています。
ピロリ菌に感染することで、引き起こされる病気には下記のようなものが挙げられています。
ピロリ菌の検査方法は、内視鏡を使う方法と使わない方法の2つに分けることができます。
ピロリ菌の除菌は薬を服用することでおこないます。まず一次除菌として、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質を朝夕2回、7日間服用していき、その後除菌されたの検査をおこないます。検査の結果まだ除菌しきれていなかった場合、二次除菌として一次と同じ薬(抗生物質だけ1種類別のものを使用)を3錠、同様に7日間服用した後、検査をおこない除菌の有無を確認します。
除菌の副作用としては、下痢や軟便、味覚障害、アレルギー反応、AST(GOT)、ALT(GPT)の変動などが挙げられています。