逆流性食道炎が起きるメカニズム

逆流性食道炎を食事で改善胸やけ・呑酸を放置しない!35歳からの食生活改善法

逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎の発症メカニズム

胃酸(胃液)が逆流すると、なぜ逆流性食道炎が起こるのか。そもそもなぜ逆流性食道炎の原因、逆流は起こってしまうのか。そんな疑問を解消するために、逆流性食道炎がどうして発症するのか、そのメカニズムについて調べてみました。

正常な場合

口から摂取された食べ物は、食道を通って胃へと運ばれ、強い酸性の胃酸や消化酵素を含んだ胃液によって消化されます。胃は粘膜によって保護されていますので、胃酸の強い刺激性にも対応していますが、食道にはその抵抗力がほぼありません。そのため、健康な状態では胃液が食道へ逆流しないよう、以下の仕組みが働いているのです。

  • 下部食道括約筋
    下部食道括約筋とは、食道と胃の境である噴門部にある筋肉です。食べ物を飲み込むと、食道から胃へ運ばれるように緩み、それ以外の時は縮んで蓋をし、胃からの逆流を防いでいます。
  • 食道のぜん動運動
    消化管の筋肉は収縮することで、食べ物を下へと運ぶ働きをしています。また、もし胃の内容物が逆流しても、素早く胃へと押し戻す役割も果たします。
  • 唾液
    唾液には胃酸の酸性度を薄める効果があるため、胃液が逆流しても一緒に飲み込むことで、食道を傷つけずに胃へと流し戻すことが可能です。

胃酸が逆流する要因

胃酸の逆流が起こる要因としては、以下の3つが代表的なものとして挙げられます。

  • 下部食道括約筋のゆるみ
    食道と胃の境目(噴門部)にあり、食べ物を胃へと迎え入れ逆流を防ぐフタの役割をしているのが、下部食道括約筋と言う筋肉です。そのため、下部食道括約筋が緩みフタの働きが低下してしまうと、逆流が起きやすくなってしまいます。下部食道括約筋のゆるみは、加齢による筋力の低下や、脂肪分の多い油っこい食事、暴飲暴食などが原因であると指摘されています。
  • 腹圧の上昇
    胃を圧迫するように腹圧が高くなることも、胃液を逆流させる要因とされています。背中が丸く姿勢が悪い方、肥満体型の方、妊婦、便秘症の方などは、常に胃を始めとした内臓に圧力がかかっている状態となるので、腹圧が高く逆流を起こしやすいとされています。
  • 胃酸過多
    食べ過ぎや、消化しづらい脂肪分やタンパク質の多い食事を摂り過ぎたりした場合、消化を促そうと胃酸が通常より多く分泌され、胃酸過多の状態になります。胃の中で胃酸の量が過剰になると、溢れるような形で逆流を起こしやすくなります。

食道裂孔ヘルニアになるとさらに逆流しやすくなる

私たちの体には横隔膜という筋肉があり、肺の機能を助けています。ちょうど胸とお腹の境にあるため、食道はこの横隔膜を貫くようにして胃へと繋がっていて、その貫いている部分を「食道裂孔」といいます。ところが加齢や肥満・妊娠などで腹圧が高い、または先天的な要因で、本来ならば横隔膜の下にあるべき胃の部分がこの食道裂孔から、食道側へと飛び出してしまうことがあります。これが「食道裂孔ヘルニア」です。「食道裂孔ヘルニア」になると横隔膜の力が噴門部ではなく胃にかかることになりますので、強くなった圧力に噴門部(下部食道括約筋)では防ぎきれなくなり、逆流が起こりやすくなるのです。食道裂孔ヘルニアは、胃食道造影検査または内視鏡検査で診断していきます。治療は生活習慣(食生活)の改善や薬物療法が中心となりますが、症状が重篤な場合は、外科的手術をおこなうこともあります。[注1]

胃酸の逆流をさせないための食生活の改善が大切

逆流性食道炎は、元々欧米人に多く日本人には少ない病気とされてきました。ところが近年になって、高齢化や食の欧米化が進むにつれ、その発症リスクは年々高まってきています。逆流性食道炎そのものは命に関わるような病気ではありませんが、放置すれば重篤化してそれこそ命に関わってくる病気になる可能性が高まりますし、不快な症状がずっと続く生活を送らなければなりません。それを防ぐためにも、肥満や胃酸の分泌を多くするような食生活を見直し、改善していくことが重要となるのです。

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