逆流性食道炎とは?
胃酸(胃液)が逆流すると、なぜ逆流性食道炎が起こるのか。そもそもなぜ逆流性食道炎の原因、逆流は起こってしまうのか。そんな疑問を解消するために、逆流性食道炎がどうして発症するのか、そのメカニズムについて調べてみました。
口から摂取された食べ物は、食道を通って胃へと運ばれ、強い酸性の胃酸や消化酵素を含んだ胃液によって消化されます。胃は粘膜によって保護されていますので、胃酸の強い刺激性にも対応していますが、食道にはその抵抗力がほぼありません。そのため、健康な状態では胃液が食道へ逆流しないよう、以下の仕組みが働いているのです。
胃酸の逆流が起こる要因としては、以下の3つが代表的なものとして挙げられます。
私たちの体には横隔膜という筋肉があり、肺の機能を助けています。ちょうど胸とお腹の境にあるため、食道はこの横隔膜を貫くようにして胃へと繋がっていて、その貫いている部分を「食道裂孔」といいます。ところが加齢や肥満・妊娠などで腹圧が高い、または先天的な要因で、本来ならば横隔膜の下にあるべき胃の部分がこの食道裂孔から、食道側へと飛び出してしまうことがあります。これが「食道裂孔ヘルニア」です。「食道裂孔ヘルニア」になると横隔膜の力が噴門部ではなく胃にかかることになりますので、強くなった圧力に噴門部(下部食道括約筋)では防ぎきれなくなり、逆流が起こりやすくなるのです。食道裂孔ヘルニアは、胃食道造影検査または内視鏡検査で診断していきます。治療は生活習慣(食生活)の改善や薬物療法が中心となりますが、症状が重篤な場合は、外科的手術をおこなうこともあります。[注1]
逆流性食道炎は、元々欧米人に多く日本人には少ない病気とされてきました。ところが近年になって、高齢化や食の欧米化が進むにつれ、その発症リスクは年々高まってきています。逆流性食道炎そのものは命に関わるような病気ではありませんが、放置すれば重篤化してそれこそ命に関わってくる病気になる可能性が高まりますし、不快な症状がずっと続く生活を送らなければなりません。それを防ぐためにも、肥満や胃酸の分泌を多くするような食生活を見直し、改善していくことが重要となるのです。